今のピルと昔のピルはちがう?

小野寺沙恵
少し前まではピルは副作用がキツイというように思われていたと思うのですが今のものと違いがあるんですか?
金山先生
昔は中用量ピルで、今は低用量ピルが多いです。低用量は自然に近い量の女性ホルモン量に調整されています。

低用量ピルを飲むと生理的(一般的なホルモンバランス)な量ぐらいになるように調整されてますね。

副作用として、「血栓症になりやすくないですか?」とか、「エコノミークラス症候群にならないですか?」ということをよく質問されます。

確かに、飲みはじめのときは低用量ピルでも血栓症のリスクが3倍ぐらいは上がるんですけど、この3倍のリスクということがどういうことかということの説明が十分されてないんです。

血栓症は、何もしてない人でも1万人に“1人”は血栓症になります。そして、ピルを飲むと、1万人に“3人”ぐらいが血栓症になると言われています。だから、9997人はならない。確率でいうと、0.03%です。

通常のリスクが0.01%で、ピルを飲んだ場合は0.03%、単純にいうと3倍ですね。よく知らない人は、この3倍という数字だけをみて、「3倍のリスク!?」と怖がっちゃうんだよね。言い方の問題で、印象はだいぶ変わりますよね。

それ以外の症状としては、吐き気やむくみが起こりやすくなります。しかしこれは、飲みはじめの1〜2ヶ月で、2〜3割の人に症状がありますが、3〜4ヶ月するとなくなることがほとんどですね。

ピルの副作用が大変という人よりも、ピルを飲み始めてしばらくすると調子が良くてやめられないという人は多いですよね。

【血栓症の患者数】

血栓症患者数

出典:厚生労働省 患者調査 平成20年患者調査 上巻(全国)より作成
上記データは一般の人の血栓症の罹患者数です。

【参考】

米国産科婦人科学会(ACOG)、米国食品医薬品局(FDA)の調査によると、低用量ピル非使用者のVTE(深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症の総称)頻度は1〜5/10,000婦人・年間に対して,低用量ピル使用者は3〜9/10,000婦人・年に上昇することが報告されている。

低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案)

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